第60回日本口腔組織培養学会総会・学術集会
期日:2024 年 11 月 15 日(金)~16 日(土)
11 月 15 日:理事会・会員懇親会(道後山の手ホテル)
11 月 16 日:総会(愛媛大学メディアセンター)
特別講演
2024 年 11 月 16 日
愛媛大学メディアセンター
バイオフォトニクスが拓く次世代口腔組織培養研究
愛媛大学大学院医学系研究科分子病態医学講座
今村健志 教授
バイオフォトニクス技術は生物学において将来有望な技術であり、すでに組織培養などのin vitro実験では必要不可欠な実験ツールになっている。
最近、バイオフォトニクス技術、中でも蛍光イメージング技術を駆使して、細胞・組織培養、オルガノイドや生体がんのプロセスを研究することへの関心が高まっている。特に、種々の蛍光色素や蛍光タンパク質を用いた生体内蛍光イメージングと最新の顕微鏡を組み合わせることで、これまで観察が難しかったがん細胞の動態や機能、がん微小環境との相互作用を多次元的に解析することが可能になる。但し、オルガノイド培養や生体組織は高散乱体で、蛍光吸収や屈折率差等の問題も生じることから蛍光イメージング応用に関しては、対象に応じた光源の工夫や新たな検出系の開発が必要である。
本講演では、我々がオルガノイド培養や生体組織の蛍光イメージングのために開発を進めている技術、特に、細胞・組織培養や生体中の分子・細胞の時空間動態解析や高精細3D解析を実現させるための革新的バイオフォトニクス技術開発を紹介する。具体的には、超解像顕微鏡によるオルガネラの高解像リアルタイムイメージングからメダカやマウスの全身マクロイメージング、さらに2光子励起蛍光顕微鏡や光シート顕微鏡を用いた高解像生体深部イメージングやオルガノイド解析まで、さまざまな最先端機器、蛍光タンパク質や蛍光色素を駆使して、生体で細胞動態、細胞機能や細胞環境を画像化して解析する手法を紹介する。
最後に、開発した技術の口腔組織培養研究領域および医療への応用について議論する。次世代口腔組織培養研究において、バイオフォトニクス技術を駆使し、生命現象、病態やその分子メカニズムを解明することは有用であろう。